TBS音楽番組「風のようにうたが流れていた」
──2018年は「クリスマスの約束」の放送がなく、それがネットで大きなニュースにもなってましたが、つまり、みんながあの番組を“恒例”のものと感じていたからだと思うんです。そして春に「風のようにうたが流れていた」という特番が組まれました。このあたり、どんな経緯だったのでしょうか。
小田和正:
年末に「クリスマスの約束」をやれなくて、申し訳なかったな、という気持ちが強かった、ということだね。でも、そもそもみんなのスケジュールに合わせて収録のための会場を取ること自体、ここ最近は非常に困難になってきてるんだよ。もちろん何をどう歌うかってそれを探すのは更に大変なんだけどね。やるからには喜んでもらいたいし。良いのができないと出演者にも申し訳ないからね。
──みんなのスケジュールだけでなく、会場を探すのも大変だと…。
小田:
もう、「会場が無い、無い、無い!」ってさ。でも聖光(学院)ならできそうだっていうことで今回は押さえてもらってね。ただ自分の母校での収録となると、自分の土俵で我が儘にやってるみたいになるのもやだな…とか、そもそも気を遣うしね。学校にも気を遣うし、TBSに対しても「ここで良かったんでしょうか?」みたいに考えたり(笑)。でも、テレビに映ったテクスチャーの感じとかあの講堂の佇まいは品があって良かったんじゃないかな?出演者諸君も「あー、ここが小田さんの母校なんだー」みたいに思いつつやってくれたみたいな気がするしね。それが表情として、実際の画面に映ってるように感じられたね。手前味噌だけど(笑)。俺としては、折角みんなに来てもらったし、心地よく過ごしてくれたらいいなあって思ってたから、終わった後、みんなに「やりやすかった」って言ってもらえて、とても嬉しかったよ。
──出演者に関してはどうでしょうか。
小田:
今回は、アッコちゃん(矢野顕子さん)にお願いしてみよう、ということで、連絡してみたら二つ返事で出てくれることになってね。彼女、素晴らしかったよね。あと杏ちゃんに関しては、松(たか子さん)のスケジュールが難しそうだということになって、ある時「杏ちゃん、いいですよ」って情報があって、彼女の歌っていた曲を聴いてみるとたしかに良かったからね。でも折角来てもらっても気難しいひとだったりしたらイヤだったけど(笑)とっても素直な良い子でしたね。これは女の子じゃなくても男でも、ゲストに迎えるとなるとそれなりに音楽的にはがっぷり組むわけだし。ゲストには、担当の歌を歌ってもらう以外にも「ここハモって欲しい」だの何だのって、ややこしいことお願いするわけだからね。そうなると、例えばリハ中も「あ、なんか楽しんでやってくれてるみたいだな」って感じで本番まで上り詰めていくのが理想なわけですよ。ホント、それが一番だから。
──「クリスマス」ではなく「春」の放送ということで、いつもとは違う選曲になりましたね。
小田:
せっかくなので、春を歌おう、ということでもあったし、色々とアイデアはあったんだ。あるとき、大橋(卓弥さん)がカーペンターズの「青春の輝き」(「I Need to Be in Love」)を夕日が差し込んでいる部室の中で皆で歌っているようなのが「学校っぽくていいんじゃないですかね?」と言ってね。それを聞いて、すごくイメージが広がって。まあ、あの歌の歌詞自体、爽やかなだけではないんだけど、もしメインステージと教室とを二元中継にして、そんな中で歌っているシーンが撮れればいいな、とか、最初はそんなアイデアで進んでたんだ。でも夕日が差し込んでいるなら昼間じゃなきゃいけないし、いろいろ考えつつだったけど途中で立ち消えになっちゃった。でも、春の感じであの歌を歌い、そこに拓郎(吉田拓郎さん)の「春だったね」を繋げるという、そんな並べ方になりました。
──ひとつの歌から、それだけアイデアが膨らんでいく瞬間があったんですね。春をやってみると「今度は夏、さらに秋の特番もやってみようかな」とかってならないんでしょうか?
小田:
なるわけないじゃない(笑)。番組やるのがなんでこんなに大変になっちゃったのかなって思ったけど、ともかくみんな忙しいんで、なかなか集まれないんだよ。空いてるヤツだけ短い時間を見つけて集まることはできても、全員のリハーサルとなると、ホントに数少ない機会しかないからね。練習不足で間違えるのを怖がって演奏して歌っても楽しくないし、音楽にならないじゃん?だからって、しょうがないからロパクで、なんていうことは、ハナからあり得ないんだから。どんな細かいコーラスも自分のものにして歌い切ってないと…。こちらの自負としては、すべてをそこで生で演奏して歌ったものを見せたくて始めたことだからね。
──その原則をハズしちゃったら、お互いがリスペクトし合う場所にもならないわけですね。
小田:
リスペクトといっても、「みんなで一緒に、よくこんだけ頑張ったよな、ちゃんと覚えてきたよな」という、そっちのリスペクトの方が大事だなと思うんだよな。今回の「風のようにうたが流れていた」にしろ、「クリスマスの約束」にしろ、ホントいつも部活みたいだから。
──覚えるために、参加者は自主練も必要そうですね。
小田:
コーラスひとつにしても、簡単なものじゃなくて、もうこんなふう(手を波のように動かす)だしさ。しかも、取りにくい音を一生懸命覚えて、しかもそれが1曲だけじゃないからさ。本当に「みんな、頑張ってやってくれるなぁ」って思うよね。特に2009年の「22分50秒」のメドレーやった時なんか、委員会の進中は、まるで会社人間みたいにしょっちゅう集まっちゃあ夜中まで討論したんだよ。そもそもアーティストなんて、自分のやりたいようにやって、ヒトの言うことなんか聞かなくていいのにさ(笑)。
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矢野顕子さんにインタビュー
──矢野さんが初めて「小田和正」を知ったきっかけを伺えますか?いつ頃で?その時どんな印象を持たれたのでしょうか?
矢野顕子:
デビューして直後の頃ですね。神田の共立講堂でオフコースが出演しているのを楽屋のスピーカーで聴いていたのが最初です。その後、ラジオで「YES-NO」を聴いて、一挙にオフコースというより小田和正ファンになりました。
──小田和正の音楽性をどのように感じますか?他のアーティストと違って感じるところなどあれば伺えますか?
矢野:
何より日本語がきれいに発音されていること。歌の音程がきちんとしていること。難しい言葉や気取った言い回しを使わずに、人の心を捉えることができる作詞作曲家であるところ。
──小田和正の作品でお好きな曲があれば、その楽曲名と理由を伺えますか?
矢野:
実は「静かな場所」が好きで、長いこと、自分で歌おうとアレンジを試みていますが、まだ成功していません。
──矢野さんは過去に「夏の終わり」「YES-NO」「YES-YES-YES」と言った小田和正作品をカバーされていますが、それぞれの楽曲を取り上げてみようと思われた理由を伺えますか?
矢野:
好きな曲は自分でも歌いたくなる、というのが主な理由です。
──小田和正と直接会うまでの印象と会った後の印象の違いなどあれば伺えますか?
矢野:
曲調や歌声からくるイメージとは違っていて、いたってバンカラな方であることに安心しました。
──TBSの音楽特番は開始からかれこれ20年になります。矢野さんはニューヨーク在住ですが、この番組はご存知でしたか?小田からの出演依頼を受けて率直なところどう思われましたか?矢野さんにとって”風のように流れていたうた”があれば伺えますか?
矢野:
もちろん知っていました。「一緒に歌いましょう!」と言ってくださったので、とても嬉しかったです。人生の折々に流れてくる歌といえば、自分が10代の時に聴いていた、Carole KingやCarly Simonの曲です。
──今回の選曲はどのような流れで決定されたのでしょうか?また、今回できなかったけれど、小田和正といつか、と思われる楽曲などありますか?
矢野:
小田さんからいくつか候補曲をいただき、会ってお話しして決めました。Carole KingやJames Taylorの曲を一緒に歌えたらいいなあって思っています。
──リハーサルを含めて印象に残っているエピソードがあれば伺えますか?
矢野:
喉のためであることは知っていましたが、リハーサルのスタジオの湿度が50パーセントに設定されており、「梅雨時のようだわ」って、小田さんに言いました。
本番でわたしがどうでもいいことを味り過ぎているのを、じっと忍耐してくださってました。
──本番は如何でしたか?演り辛かったことなどありませんでしたか?
矢野:
とてもうまくいきました。きちんと製習した成果だと思います。
──小田も今年で72歳、今後について何かメッセージなど頂けますか?
矢野:
わたしのことを嫌いにならないで欲しいです。
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杏さんにインタビュー
──「風のようにうたが流れていた」という小田の音楽番組に出演して頂きましたが、「小田和正」のことを初めて知ったのはいつ頃ですか?
杏:
子供の頃から歌声には親しみがあったんです。中でも私が中学生くらいの頃のドラマの主題歌だった「キラキラ」がすごく印象に残っています。自分がリアルタイムで見ていたのはその頃からだったので。
──杏さんから見た「小田和正」のイメージはどんな感じだったんでしょうか?
杏:
既に存在していて揺るがないもの、みたいな…富士山みたいな…何と言うんでしょう?本当に揺るがないもの、というイメージがすごく強かったです。
──小田への入り口が楽曲「キラキラ」だったということですが、それ以外にお好きな曲はありますか?
杏:
やっぱり「言葉にできない」や「たしかなこと」「伝えたいことがあるんだ」ですかね。
──さて、今回は「風のようにうたが流れていた」という番組でしたが、元はと言えば年末の「クリスマスの約束」、この番組をご覧になったことはありますか?
杏:
はい、観てました。実は私の知り合いが、この番組がきっかけで結婚したんですよ。お互いが小田さんのファンで、「君も『クリスマスの約束』を観てるの?じゃあ今度一緒に観ようよ」ということで意気投合して、そこから交際がスタートして結婚して子供も産まれたんです。
──素敵なお話ですね。その方に杏さんが番組に出演することは伝えられたのですか?
杏:
はい、伝えました。すごいびっくりしていましたね(笑)。
──出演依頼が来た時はどう思われました?
杏:
それまでに出演されている方々がアーティストというか音楽の方々ばかりで、ずっと出演されている松たか子さんも、女優とはいえガッツリ音楽されているイメージだったので、本当に私で大丈夫なのかな?という不安を抱きました。小田さんに最初に会った時に、演ってほしい曲が5曲あると言われて、思っていたより多いなぁと一瞬怯みはしたんですけど、途中で「やっぱり君やらなくていいよ」と言われてしまうのがすごく嫌だったので、その言われた5曲を何とか全部できるように…初めて聴く曲もあったんですけど、言われたからには絶対できるようにしようと思いました。
──その5曲の曲名を聴いたときはいかがでしたか?
杏:
Carpentersもいろいろ好きで、今回の曲も知っていたんですけど、他の曲だったらとか、この曲は知ってるけど歌ったことないなとか、結構ドキドキしていました。でも最終的にちゃんと覚えて歌うことができたので良かったです。
──「SWEET MEMORIES」はいかがでしたか?
杏:
元々知っていた曲だったので、実は一番ホッとした曲でもありました(笑)。
──小田さんとはスタジオに入る前に事務所で初顔合わせだったんですよね?どんな印象でしたか?
杏:
厳しい方なんだろうなと思いつつ、気さくに話してくださって嬉しかったです。
──小田さんとの会話をされて印象に残っていることありますか?
杏:
私が「普段歌を歌ってないから、それを言い訳にしてはいけないと思う」と自分のことを言ったら「そりゃそうだ」と言われました(笑)。
──リハーサルに戻りますが、ちょうどバレンタインの時期だったので?チョコの差し入れを頂きました。
杏:
小田さんが甘いものをお好きと聞いていたので、オレンジではないんですが、柑橘系のフルーツの手作りチョコを持って行きました。
──大好評でしたね。小田さん以外にも甘いもの好きな人が多いので、あっという間に無くなってしまいました。またスタジオにお子さんも一緒に来られた時がありましたが…。
杏:
「SWEET THE HEART TREE」がおとぎ話のような歌詞の内容だったので、子供たちに言い聞かせるような気持ちで、一回子供たちの前で歌ってその感覚を覚えておきたいなと思ったんです。でも実際はもうバタバタしちゃって大変でしたが(笑)。でも小田さんが私の子供たちに小さなギフトを用意してくださっていて、指人形だったんですけど、すごく可愛がっていただいて…子供たちもすごくすごく心に刻まれたみたいです。本番当日は夜遅かったので会場には来れなかったんですけど、オンエアは本当にもう何十回も観て、「SWEET MEMORIES」以外の曲も口ずさめるようになれるくらい…口ずさむと言っても無茶苦茶なんですけどね(笑)。「風のようにうたが流れていた」の歌詞で「何もわからないけど口ずさんでいた」という歌詞があり、わからないけど音楽の良さとか歌の楽しさとかを、まだ3歳なんですけど、その歌詞をまさに体感した感じですね。
──今回共演されたアーティストの方々とは、初めまして、だったんですか?
杏:
ほほ初めましてでした。皆さんすごく気さくに話してくださったんですけど、中でも矢井田瞳さんとスターダストレビューさんをすごく聴いていたので、お話できてすごく感しかったです。矢井田さんは私が中学生の時にデビューされたので、カラオケですごく歌っていました。
──矢井田さん、根本さんとはどんなお話をしたんですか?
杏:
矢井田さんとはお互い子供がいるね、とか話しましたね。根本さんとはあまり一緒になる機会がなかったのですが、会えて嬉しかったですと言ってくださいました。和田さんも皆さんをまとめてたりして、私も席が近かったり「SWEET MEMORIES」をご一緒したので、いろんなアドバイスをいただきました。
──普段アーティストの方々とご一緒する機会が少ないと思うのですが、今回ご一緒して杏さんの音楽魂に火がついた、みたいなことはないですか?
杏:
そうですね…皆さんの歌唱力もそうですが、演奏力も間近で見ることができたし、あと、リハの休憩時間に「あの曲ちょっと弾いてみて」とか全然関係ないところでの音楽の技みたいなものを見せていただいて、それもすごく楽しかったので、なんか本番が終わって練習がなくなるのが少し寂しい気がしました。本当に部活みたいな雰囲気でしたので(笑)。
──事務所での初対面から本番を迎える間に、小田さんとの接し方とか印象変わってきましたか?
杏:
いや特に変わらず、ずっと楽しくて、話し辛さとかもあまり感じなかったです。
──最初からですか?
杏:
そうですね、最初にお会いした時すぐに「じゃあ歌ってみますか、大丈夫?」と言われて「あっ、それが一番いいですよね」という話をして…「私もせっかちなので、その方が効率的だと思います、いろんな話をするよりまず歌ってみた方がいいと私も思っていました」と言ったら「僕もすごくせっかちなんだよ」と言われて(笑)本当にいきなり歌った、って感じでした(笑)。
──ご自身でも心構えをしてきたということだったんですね。
杏:
でも、歌う曲を言われたのがその日で、事前に知らされていたわけではなかったんです。たまたま「SWEET MEMORIES」を知っていたので良かったです。でも私をわかってもらうのに一番早い方法は歌うことだとは思っていました。
──オンエアをご覧になったと思いますが、感想はいかがですか?
杏:
本当に素晴らしかったので、音源でいただいて何度もきたくなりました。
もちろん自分の歌ったところも思い出深いんですけど、映画音楽のパートだったり委員会バンドの皆さんだったり、本当に何度も聴きたいなと思いました。それくらい素敵な番組でした。
──周囲の反響とかありました?
杏:
何年も連絡取ってなかった人から連絡が来ました(笑)。テレビ観たよ!って…それはびっくりしました(笑)。
──ちなみにお父様(渡辺謙さん)が観に来られていましたが、何かおっしゃっていましたか?
杏:
今回小田さんとご一緒するとなって初めて知ったんですが、父がこんなに小田さんのファンだとは知りませんでした(笑)。心酔しているような感じでちょっとびっくりして…もう大大大ファンみたいな(笑)。私の歌に関しては「なんか女優の歌い方だな」なんて言ってましたが…(笑)。
──杏さん的に「風うた」の一番の見どころ、聞きどころを挙げるとすればどんなところですか?
杏:
コーラスの凄さですね。コーラスというかハーモニーですかね。ほとんどの曲で歌っている人同士がハーモニーを奏でてて、それが聴いていてもとっても気持ち良かったので、それを間近で体験することができて良かったです。特に私は聖歌隊にいたので、そういうハモリみたいなのがすごく好きなので、そういう部分が私は一番の見どころだと思っています。
──大変だった、苦労したみたいなことはありましたか?
杏:
ちょうど花粉症が始まった季節だったり、あと日常これだけ歌うことがなかったので、途中少し喉が痛いなみたいなことがあったんですが、一番懸念していたのは本番で歌う瞬間にベストの状態でいられるかどうかということでしたね。毎日マスクしたり思いつくことは全部やってました。
──今回小田さんと初めてご一緒しましたが、何かメッセージがあればお願いします。
杏:
クオリティの高すぎる現場だったので、終わってみて小田さんがどう思ったのかとか、分かりかねることがあったりするので、もし良かったらまた呼んでいただきたいですね(笑)。本当にすごく楽しかったので、もしまた一緒にやってもいいよとおっしゃってくれるのであれば、ぜひご一緒したいです。あと今回もそうですけど、今まで「クリスマスの約束」でやってきた曲の、小田さんが歌うカバーアルバム出して欲しいです。今回もリハーサルで「Tears In Heaven」を聴いて、私涙が出てきちゃったんですけど、もっと長く聴いていたい、メドレーも丸々小田さんで聴いてみたかったという思いがありますね。
──この番組をきっかけに、さらに音楽活動をしていきたい、というお気持ちはありますか?
杏:
曲を作ろうとも思ってないし、作れる技術もたぶんないし、自分から私やります!とはまだ怖くて言えないんですけど、今回本当にすごく楽しかったので、こうした場所にまた呼んでいただけたら嬉しいなと思います。
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