★コメントタイプ:ひとり語り

★アーティスト:artist-0001

★★diary_02140
2001.6~ TBS特番「クリスマスの約束―きっと君は来ない」ミーティング開始


 最初に声をかけられた時は「ライブをやってくれ」っていうことだったんだけど…ファンの前だけなら自分の曲だけを歌っても飽きないで聴いてくれるのかなと思うんだけど、一般の視聴者は、俺の歌を何曲も聴かされても迷惑だって、そんな人もいてチャンネルだってすぐに変えられちゃうみたいな‥俺自身、ひとの曲は1~2曲聴いただけで充分って感じで、しかもワンコーラスを聴いただけでも、もういいっていうようなところがあるからね(笑)。
 かつてほかのアーティストといろんなことをやろうとして挫折してきてしまったようなことがあって‥そのチャンスを与えてもらったような気がしてね。で、だからこれはせっかく与えてもらったチャンスなんだと‥自分が一生懸命頑張ってきたからこういうことに巡りあえたんだという気持でね。
 それと‥テレビを当たり前のように使ってきたような人たちは違うかもしれないけれど、俺は‥特にバンドの頃、テレビを拒絶してきたから‥いろんな意味でリスクがあったんだけど、リスクのないようなことはやっても意味がないんじゃないかと‥それがない限り、そこから先には進めないんじゃないかとスタッフともよく喋ったりしていたから‥。今回のテレビの特番の話を含めて時間がたつっていうことは、自分をこういうように変えていくんだなって気もしたなぁ。

K.ODA TOUR 2002 『Kira Kira』





★コメントタイプ:Q&A形式

★アーティスト:artist-1239

★★diary_02140
2001.6~ TBS特番「クリスマスの約束―きっと君は来ない」ミーティング開始


──そもそも小田和正で特番をやろうと思ったきっかけは?

阿部龍二郎:
「うたばん」の出演依頼を見事に断られ、それを「根」にもってしまったため。レコード会社の人を信じるならば、「うたばん」の出演交渉はかなりイイセンまで行っていたとか。最後の最後に小田さんがトーク部分について見えて来ない部分があり、首を縦に振らなかった…と伝え聞いた。
TBSの技術も美術も小田和正ファンが多く、期待が高まっていただけに、皆で残念な思いをかみしめた。納得のゆかない気持ちのまま帰宅し、LOOKING BACK2の「さよなら」をはじめて聞いた。衝撃を受けた。中学三年の時に知った「さよなら」ではなかった。生意気を言わせてもらえるなら、「良くなっていた」「磨き込まれていた」「生まれ変わっていた」。このアーティストは凄い、こんな凄いアーティストに出演を断られたんだ。すぐさまAPの服部にメールを打った。

阿部:さよなら聞いた…凄かった…悔やまれる。
服部:同感です…自分も納得出来ません。
阿部:絶対に俺達の番組で唄って欲しかった。
服部:特番なんて組んじゃうとか…。
阿部:やるか…やるゾ…。同期の編成に持ち込んでみる。

最初はこんなやりとりの中でこの企画は産まれたのです。

――企画を持ち込む前までの小田和正に対する印象は?

阿部:
不機嫌な孤高のアーティスト

――実際に会ってみていかがでしたか_

阿部:
最初の面会後のタクシーの中の会話
「だいたい難しそうな人って会ってみると実は気さくということが多いけど、小田さんはそのままだったな。一度も笑顔を見せなかったゾ。これは難しい事になりそうだ…」そんな印象でした。現在は、「小田和正って高倉健(映画の中の)みたいだ」と思ってます。男が惚れる男ですね。

――どんな番組を作りたいと思ったのでしょうか?

阿部:
僕達が普段生業としている音楽番組の作り方に対する罪ほろぼしのような番組を目指しました。視聴率やプロダクション行政などに拘泥する事の無い番組を作りたい…そんな身勝手な希望を恥しげもなく小田さんに最初に申し上げました。「君達がどんな仕事しているか、そんな事は俺は知らん。でも、方向は俺の考えている事と同じだ」そんな風に言って頂いたと記憶しています。

――小田さんとのミーティングはどんな感じでしたか?

阿部:
学生時代に行っていた数学の個人塾に再び通っているような気分でした。宿題が不完全なまま訪れても見捨てる事なく丁寧に教えてくれた老教授。その優しさに「来週こそは裏切っちゃいけない。ちゃんとやって行こう」そう思いながら帰路につく訳ですが、最後まで裏切りっぱなしでした。そんな事をありありと思い出す程、不勉強でなさけない生徒のようなTBSチームでした。本当にいつ小田さんに怒られるかビクビクしていました。ちなみにプロデューサーの私は何度かズル休みしました。

――対峙して、何か苦労した点とかありますか?エピソードがあればざっくばらんに教えてください。

阿部:
小田さんのあまりに生真面目な所が怖かった。アーティストのキャスティングを「オレがやるよ」とおっしゃられた時には息を飲みました。とんでもない苦労をひとり背負い込もうとする小田和正の潔さに畏怖し、自分達の不甲斐無さに…と言うより自分の不真面目さを恥じ入りました。小田さんと対峙すると不思議な事に自分というものをあらためて考えさせられてしまうのです。帰りのタクシーの中ではいつでもそうでした。

K.ODA TOUR 2002 『Kira Kira』