──今回のツアーでは、「言葉にできない」がソロになって初めて、オフコースバージョンで披露されました。何故オフコースバーションにしたんですか?
小田和正:
みんなが喜んでくれるかなと思ったのがいちばんの理由だね。オフコースバージョンでやるのは、長いけれど変わった展開だし、独特だからそれをあえて、やったらどうなるんだろうとも思ったんだよ。オリジナルって、こうだったんだと発見することもあったし。そうそう、あの時確かにこの音がモニターから聞こえてきていたなぁって、そんな事も懐かしかったよ。
──バイオリンの(吉田)翔平さんが今回の「言葉にできない」について「ちょっとテクノで、お洒落な曲で、あれを当時やっていたなんてすごい」とおっしゃっていました。
小田:
あれを演るのはすごく大変なんだよ。♪終わるはずのない 愛が途絶えた♪ってところ、ひとりで歌うときはフリーの感じで歌うけど、こっちのバージョンは、崩さないできちっと4/4で歌いながらグルーヴ感をだして、情感を伝えなくてはいけないから、声の調子が悪いとだめだし、そもそも音が高いし、要するに全然違うんだよ。♪ティーンティーンティーンと、あそこのサウンド、シンプルだけどユニークで、クリちゃん(栗尾直樹)のピアニカが入ると、あ、広がるなっていつも思うんだ。でも、初日は、みんなびっくりしたんじゃないかな。ただ音楽的にどう違うかとか、自分が思っているほど皆は感じてないかもしれないしね。
──「楽しく、楽しく」を合い言葉になさっていましたね。それが途中から「幸せな気持ちを持って帰ってほしい」と話されるようになりました。
小田:
どの会場も高齢の方が多く、みんな一生懸命足を運んでくれてるんだなって驚いたんだよ。楽しくやりたいと思います、と言っていたけど、突如、幸せな気持ちを持って帰ってほしいと、幸せな気持ちが長く続くようにと、そういう責任というか義務があるんだろうと思ったんだね。
──おっしゃっていた言葉「小田さんはお客さんを幸せにしている。お客さんの心からの幸せな顔をみて、いつも僕自身が幸せになっています。だから僕にとって、小田さんは幸せを繋いでくれる人」といってらっしゃいました。その言葉がとても印象に残っています。確かに、「楽しく」も貴重ですが、「幸せに」はもっといいですね。
──ステージ前に、バンドの皆さんとラジオ体操をしていますが、あれはいつ頃からですか?
小田:
だいぶ前からだな、ここ10年くらいになるのかなぁ?最近は、みんな相当一生懸命やっているね。
──言いだしたのは、小田さんですか?
小田:
いや、誰がいいだしたか忘れたけど、最初はテープで。いまはパソコンで映像つきでやっている(笑)。
──ラジオ体操第一だけですか?
小田:
以前は第一第二とやっていたけど、ちょっと負担になっちゃって(笑)でも最近はまた両方やろうという意見もでていたね。こういう機会がないとやらないから、みんな、やりたいんだね。
──MCを毎回必ず変える。同じことを絶対、二度と話さないというのは、大変なことですよね。面白かったのをいくつか振り返りますと、今回のオープニング映像に出てくるフェスタという犬の話。以前の気球に乗っているオープニング映像のときと同じ犬だと聞いて、賢いから反応してくれるかなと期待してたけど全くの無反応で、でも、フェスタは人間の年齢でいうと自分(小田さん)と同じくらいと聞いて、それなら仕方ないやと思った話(笑)。
小田:
あれは、ちょっと受けたかな(笑)。
──はい、かなり受けてましたね(笑)。私は幼い頃の駄菓子屋の話が面白かったです。何を買おうかと、ずっと迷って決められなくて。駄菓子屋に着いても、まだ迷っていると、「それにしなよ」とオヤジに言われ、それにしちゃって(笑)、帰り道、ずっと、なんでこれにしちゃったんだろうと、後悔するという話(笑)。
小田:
あれ、みんなそういう経験があると思うんだよ(笑)。
──確かに。子どもの頃、似たような経験がみんなあるから可笑しいんですよね。床屋のオヤジが、小田少年を抜かして次々やってくる大人を先にやってしまう話。地元の床屋の話も面白かったです。
小田:
あ、それ、おばさんだったんだよ。
──あら、そうなんですか。それから鈴木康博さんと2人でやっていた若い頃、大宮市民会館に行った話もありました。
小田:
立ち食いソバの話?
──そうです。ファンの女の子たちが10人位ついてきて、駅の立ち食いソバを食べている二人をずっとじっと見ている話(笑)。なんか絵が浮かんできます。MCが受けたときは、あ、これは受けたと思ったりするんですか?
小田:
MCが受けた時は、やったーと思うよ(笑)。
──あっ、やっぱりそうなんですか。ステージで歌い、MCをやり、老若男女にウケている小田さんを拝見していると、小田さんが若い頃、志ん生のテープを聴いていた話を思い出します。
小田:
どんな話だっけ?
──オフコースがまだ二人の時で全く売れていなかった頃、横浜から東京まで、自分の車で通っていて、その車内でいつも流していたのが志ん生のライブのテープで、若い女の子の笑い声とかも入っていて、「60歳過ぎてるのに、こんなにもっていけちゃうんだ、すごいな、音楽ではあり得ないな」と思ったという話です。だから小田さんのライブを拝見していると、“70過ぎてるのに、こんなにもっていけちゃってる”って、志ん生と同じじゃんって、思ったんです。
小田:
いやぁ、志ん生は、高座で寝ててもお客さんが起きるまで黙って待っていたという、すごいエピソードを持っているからね。たぶん、ほとんど本当だと思うんだけど、その域には、なかなか(笑)。
──いや、小田さんがステージの上で、しばらく黙っていても、みなさん待っていますよ。ま、寝ることはないでしょうけど(笑)。
小田:
ああ、でも寝ないこともないな(笑)。
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