★コメントタイプ:ひとり語り

★アーティスト:artist-0001

★★diary_02185
「ANOTHER MOONLIGHT」


 音楽を言葉で語るほど、ばかばかしく、無粋なことはない。しかもこれは、インストのアルバムである。その内容をなんだかんだと書き連ねるのは止めよう。
 あれは1998年の7月、新潟の長岡でイベントがあり、その打ち上げも終わろうとしている時だった。そこで、バンド(F.E.C.B.僕のツアー・バンド)の連中に、とうとう言ってしまった。「おい、君らインストのアルバム作らないか」。「とうとう」というのはいつ言おうかと、その打ち上げの間じゅう、いや数ヶ月も前からタイミングをつかみ損ねて、ずっと落ち着かない気分でいたのだ。その逡巡はどこから来ていたのか。彼らが「また面倒臭いこと言い始めたな。でもオダさん思いこみ激しいから、いちど言い始めると聞かないし、まいったな」と迷惑がるかも知れないと考えていたから。いや違う。どうでもいいような、リリースする価値のないようなアルバムが出来たらどうしよう、と疑っていたのだろうか。いや違う。僕が考えていたのは、そのアルバムを作ることが、彼らにとってほんとうにステキな思い出になるだろうか、ただの思いつき、ノリでやっただけの企画、「アレはなんだったんだろう」という終わり方をしないだろうか、必ず「つぎ」へつなげて行けるのだろうか、結果、一枚だけで終わったとしても、気持ちだけはそれによって、何かへ、どこかへつなげて行けるのだろうかということ、そしてほんの少し、出す以上ある程度の採算は取らなきゃいかんのだろう、大丈夫かな、ということだった。しかし僕を逡巡させていたそんなすべての心配はさておき、もし作れたらステキなアルバムができるだろう、僕はそう思っていた。
 F.E.C.B 二枚目のアルバムが出ることになった。一枚目の時「なんか、日本的な感じが出るといいなぁ」とだけ言った。二枚目は行き詰まるものだ。あえて何にも言わずにスタートした。でも彼らには、音楽家としての十分なキャリアもあるしオトナだから、僕がオフコースで二枚目を作った時のような煮詰まり方はしなかった。でも彼らが今、どのような気持ちでこの出来上がったアルバムを聞いているのかは知らない。
それについて語り合うのは、きっとこのアルバムをひっさげてツアーに出てからだろう。ただ確実に言えるのは、いつの日か振り返るであろうそれぞれの人生にとって、一枚目に続いてこのアルバムを作ったことはきっと大切な思い出になるだろうということ。二枚目のアルバムが出せたということは、僕にとってそういうことだ。それだけで、もはや十分幸せなことだけれど、その思い出をより多くの人たちが共有してくれれば、さらに、こんなに嬉しいことはない。「ANOTHER MOONLIGHT」を聞いて、ライブに遊びに来てください。

K.ODA TOUR 2002 『Kira Kira』