シングル「こころ(CX系ドラマ「ファースト・キス」主題歌)/ワインの匂い」発売。
こころ
人ごみを まぶしそうに 君が 走ってくる
降り続く 雨はやんで 夏の空に 変わった
初めから 分かっていた 君の 代わりは いない
確かなことは 何も 見つからないけど 君が好き
世界で いちばん 大切な人に 会った
今日までの そして これからの 人生の中で
君のために できることは ほんの少しだけど
こころは ほかの誰にも ぜったい 負けないから
それぞれの 想いは今 夏に ゆられるまま
離れて 近づいて 切なく ときめいて
あの夏 世界中で いちばん 大切な人に 会った
今日までの そして これからの 人生の中で
時の 流れは 二人で 刻んで行くんだ
寄りそって 触れあって 今 この時を 生きて
あのね 生まれて初めて こんなふうに 誰かを
幸せに したいと 思った
街の灯りが 空も とどいて
いつか 夕べの星と いとつになってゆく 君が好き
世界中で いちばん 大切な人に 会った
今日までの そして これからの 人生の中で
時の 流れは 二人で 刻んで行くんだ
寄りそって 触れあって 今 この時を 生きて
あの夏 世界中で いちばん 大切な君に 会った
こころは ほかの誰にも ぜったい 負けないから
人ごみを まぶしそうに 君が 走ってくる
降り続く 雨はやんで 夏の空に 変わった
──新曲の「こころ」ですが、まず曲の成り立ちから教えて頂けますか?
小田和正:
NHKとは全然違う人達が観てるドラマだろうな、ターゲットは違うな、というのはあったけどね。まずはドラマのスタッフの人達が、挨拶に来てくれたんだよ。で、勝手なことを言うんだ(笑)。“キラキラ”と"たしかなことが混ざったような、とかさ。”主演の井上真央ちゃんも、そう言ってました”とか(笑)。まあ言われれば、なんとかそこに辿り着きたいとは思うけど、こっちも、さんざん無い知恵絞ってこれまでも曲を書いてきてるわけでね。でも、”サビはなるべくキャッチィに”とか、ホントに言うからね。あと、”やはりイントロは♪チャカチャーンですよね”、みたいなさ(笑)
──「ラブ・ストーリーは突然に」みたいにして欲しい、と。
小田:
普通に曲を書く時は、そういう勝負は避けるよね。でも、“イントロから、あれくらいインパクトがあるもの”って期待されれば、“いや、そこの勝負はナシよ”、というわけにもいかなくてね。こちらは頼まれてるわけだし、相手は勝負して欲しいわけだから。そういう、普通に曲を書く時はしなくていいことも、敢えてしなければならないからさ。でも“♪チャカチャーン”にしても、結果だからさ。佐橋(佳幸)が弾いたんだから
──その瞬間だからこそ生まれたものでしょうからね。
小田:
あの時は、いろいろ試行錯誤しながら生まれたんだけどね。もちろん、イントロは大切だし、特にポップスの場合はね。なので俺としては、イントロはイントロで独立したものとして、ひとつの部品として考えていったところもあったな。こんなシーンで流れて、そしてサビは、みたいにね。でも、そういう考え方もあるから。もちろん、部品とはいえひとつになるわけだし、大切なのは、最後まで飽きずに聴かせる事だからね。結局、どういう結末であろうとも、大切なのは歌詞で言うなら、”こころはほかの誰にも ぜったい 負けないから”の一行だと思うんだよ。それがすべての恋愛に共通してるし、この一行さえあれば、“他はどうでもいいかな”って思うくらいにね。で、最後に歌いだしと同じ”♪人ごみを まぶしそうに”というのが、再びでてきて終わる。時間が経過しているはずなのに、そこに戻る。俺はあんまり好きじゃないけど、最後のシーンから始まって、色々と紆余曲折あって、再びその最後のシーンに戻るみたいな、もう一回デジャヴュみたいな、そんな構成に似てるな。”その時の君は、そのスタートはここだったんだよなぁ”、みたいな、もし歌詞を画的に解釈するなら、そんな感じの構成でね。でも、歌いだしの”♪ひとごみぃ~を”んとこは、サビにしてもいいメロディだったんだよ。それがAメロにあるという、そんな面白さもある曲でね。もし、歌いだしで”サビっぽいな”って思ってくれた人がいたら、“あ、最後に本当に、もう一度サビのようにこのメロディがあるんだな”って、そう感じてもらえるだろうしね
──主演の井上真央さんは、小田さんの歌をよく聞いてたそうですけど、歌が完成して、どんな感想を言ってくれたんですか?
小田:
番組のスポットで流れた部分だけは聴いててくれたみたいだけど、歌入れが終わったくらいの時、スタジオに遊びにきてくれたからさ。その時、“聴いてみる?”って開かせたら、凄く喜んでくれたな。けっこう興奮してくれて。“あ、月9って感じ”って言ってたなぁ。それがどういう感じなのか俺にはよくわからんけど(笑)。でも、彼女はそういう客観的な感じと、自分が主演するドラマの曲なんだという想いと、二重の気持ちを言ったんだと思うと、それがとっても面白かったよ
──さっき、“こころはほかの誰にもぜったい負けないから”という一行が大切なんだという話がありましたけど、そこから曲タイトルの「こころ」へは、どうつながっていくんでしょうか?「こころ」といえば、夏目漱石に同名の小説もありますが…
小田:
すべての種明かしをしてもいいんだけど、でも夏目漱石もすべての小説のタイトルの由来とか、説明はしないからね(笑)。でも、”こころ”って、つまりは精一杯、ということだったんだな。途中でタイトルをつけちゃったんだ。まだ詞の中に"こころ”のカケラもない時期に。“ダイジョウブ”もそうだった。で、別にこの言葉が歌詞のなかに登場しなくてもいいやって思ってたんだけど、書いてるうちに、だんだん親切心が働いてね(笑)。でも、それによって自分のなかで膨らむものもあったからな。だからなんとか、”こころ”に向かって歌詞が完成していかないかな、ということでね。
──音の感覚とか、全体に抜けがいい気持ちいいものになってませんか?沖縄でレコーディングしてるとか、そんなのも関係あるのかなぁ、なんて思ってしまうんですけど。
小田:
沖縄ってことよりも、俺達の手で仕上げるんだという、それが大きいんじゃないのかな。でも"ダイジョウブ”近辺から、ビル(シュネイ)に委ねるんじゃなく、エンジニアのキン(三上)ちゃんと俺とで、なんとかしようっていうのがあってね。たまたまビルの都合がつかなかったからなんだけど、そのためにアメリカ行ったり、そのためにこっち来てもらったりっていうのが、さすがに億劫になってきてる、というのもあったし。まあ、ビルに負けないように、とまでは言ってないけど(笑)、いいものを作ろう、とね。でも、ビルに任せている時は、”こっちも勉強しよう”というんじゃなかったからね。いざやってみて、どういうところに特徴あるんだろうって、確信はないけど、求める音を目指してやってみてね。でも手さぐりで、俺は低域が出過ぎてると思ったからそう言ったら、キンちゃんに“いや、むしろ足りないんだとおもいます”って言われて”えっ!?”みたいなさ(笑)。そんなことを“ダイジョウブ”で勉強して、そのあと、”クリ約”ではテレビを通すとどう聴こえるのかも勉強して、それもあってのことだけどね。まぁ最近はプロトゥールスのような機材もあるんだし、データを記憶させておいて、毎日少しずつ、聴きながら改良していけば良くなっていくわけだから。だから“抜けが良くなっだ”って思ってもらえたのは、そうやって俺達で、少しずつ仕上げてった結果だろうな。
──新たな曲を書く動機も、そういうところから生まれそうですよね。それにしても「こころ」は、ひとつひとつの言葉の語尾とかに、音楽的な情報量が、びっしり詰まっている感じに聴こえますよね。
小田:
ああ…それはね。それ、全部の言葉でやってるじゃん?それを例えばステージで、全部の言葉でちゃんとそうやっているように歌いきるとなると、スゲェ大変だからね。それこそピアノの協奏曲とか、すべてマスターして、すべてそのレベルで繋げて演奏していくみたいなことでさ。この語尾、もう少し膨らませたいなって思っても、次のフレーズの頭が来ちゃうじゃない?それはねやってみたいけどね。途中の“あのね”ってとことかは、あれはさ、難しくないけど、他も全部、語尾を膨らませて歌うのは、タイヘン(笑)。まぁ演歌のひととかはさ、先生にそう言われるわけじゃない?君ね、この”そしては、ただの"そして”じゃないんだよ“いろんな風景が見えるんだ”みたいなこと、きっと言われるわけじゃない。演歌だと、それは可能かな、と。”♪長崎から ふねにの~って、神戸に”って、そこに膨らみがあるじゃない?ただの神戸じゃなくて、“神戸につぅぅ~いたぁぁ~”ってさ。この、”つぅぅ~いたぁぁ~”ってのがさ(笑)
──もう、ホントに着いた気がしますもんね。カップリングの「ワインの匂い」の“ルッキング・バッグ”に関しても、お訊ねしたいのですが。
小田:
今回、オリジナルは一回も聴かなかったんだよ。“哀しいくらい”は、ちらっと聴いて(笑)。望月に、“あそこのコード、どうなってる?聴いといて”ってさ(笑)。“あー、やっぱりなみたいな。で、最後に“タ~ンタ~ンタン”って、それはオリジナルのイントロなんだけど、そこで聴く人は、ちょっとホッとするかな、という
──あそこはニャッとしましたよ(笑)。
小田:
そう。ニャッとしてもらいたくてね。まあでもね、あの曲、思ったより短いんだよ。もう一度サビを繰り返しそうなのに“あ、これで終わりだ”っていうか。歌詞も変えようかと思ったけど、どうしても、というほどでもなかったからね
──あまりボサノヴァっぽくない感じになってますよね、今回は。オリジナルは”ボサノヴァをやろう”ってことだったような…。
小田:
あの当時はね、拙いことだらけでさ。まあ今も拙いけど。俺って、夢中で書いてるとさ、Aメロはエイトなのに、サビになると16になっちゃったりしてたんだよ。当時はただ、好きなフレーズ書いてただけだったと思うんだよ。すごいヘンテコリンだったよ。今でもあるんだよ。8と16が混ざったり、4拍子の積もりが3拍子だったりするもんな
──選曲の理由はどうなんでしょうか。
小田:
渋い曲をやりたいというのもあるけど、渋い曲は渋いままでき、やっぱり、“あ、これやったんだ!”って、みんなが思ってくれたほうが、賑やかしとしてはさ。風当たりも強いだろうけど、強いということは、取り上げた価値もあるんだろうし。だから、敢えて。ま、今回この曲にした凄く大きな理由はないけど、ガキっぽかったのを大人っぽくやったら、どう聴こえるんだろう、というのは、他の曲の場合も必ずあるよな。これをもっと、あとから”子供っぽくやりたいな”っていうのは、思わないもんな
──“回想した”みたいな感じにもなるんでしょうかね。
小田:
あー、噛みしめてる感じにね。それ、声の感じもあってのことだろうね。”こころ”にしても、実年齢で歌っているというより、どこか回想っぽい気持ちにはなるよね。音楽のニーズとして書いてるけど、60の人間が“月9”の主題歌を書いてさ。それを一生懸命、そういう風に演じて歌ってはいけないんじゃないか、というかさ。22歳とかの“君”が走ってきて、そこに俺が待ってたら、孫が走ってくるみたいになっちゃうしさ(笑)。申し訳ないな、というかさ。ライブでやるにはいいけど、ドラマで流れて、“なんだ、こんなオッサンが歌ってるんだ”って、夢を壊してはいけないな、というのはあるよな。となると、バラエティとか出てないといけないのかな?ギャップを埋めるために(笑)
★コメントタイプ:ひとり語り
★アーティスト:artist-1325
若松プロデューサーのコメント
井上真央さんという今をときめく正統派女優、そして井上由美子さんのしっかりいた脚本、それに負けない存在感のある主題歌をと思い、大ファンの小田和正さんに思い切ってお願いしました。夏の『泣けるラブコメ』にぴったりの、清涼感あふえる力強い主題歌を頂きました。
★コメントタイプ:ひとり語り
★アーティスト:artist-0317
井上真央さんコメント
大好きな小田さんの歌が主題歌なんて、小田さんファンの私としては本当に感激と喜びでいっぱいです。劇中で流れる小田さんの素敵な歌声で、よりキラキラな世界感を作りあげていきたいです!
KAZUMASA ODA TOUR 2008"今日も どこかで"