早稲田グリークラブ100周年に向けて合唱曲を制作。
──私たちはほとんどダメもとの気持ちで楽曲の依頼の手紙を出したんですけど、それをご覧になった時の感想はいかがでしたか?
小田和正:
見た瞬間にもう曲のこと考えてたな。前に校歌みたいなの頼まれて書いているから、まあ書けるかなとは思ったけど、男声合唱ということだからどんな曲になるんだろうというのはあったけどね。スケジュール的にも依頼受けたのが2年前くらいだったから良かったんだよな。あれが1年前とか半年前とかだったら「残念だけど」ということになっていたかもしれないね。2年の猶予があるなと思ってね…だから断るというイメージはなかったよ。
──ありがとうございます。小田さんは学生時代合唱をやられていたそうですが、合唱を始めたきっかけは何ですか?
小田:
それはもう単純な話で、うちの兄貴が合唱をやっていてね。兄貴のやることを何でも追っかけてたんだよ。野球もそうだし音楽もそうだし…。そして員が先に大学入って俺が受験の頃に、隣の部屋が兄貴の部屋だったんだけど、友達が泊まりに来たりしてハモったりしててね。それ聴いて「あ~いいな~」と思って。でもピッチが悪いんだよ(笑)。ある日俺が口出して、ちょっとその音がおかしいと言ったらすごく嫌がられたというのをよく覚えているな…まあそんなことがあってやってみようかなと思ってね。あと仙台に行って何かスポーツやりたかったんだけど、下宿が毎日風呂に入れなかったんだよ。だから合唱やったんだけど、毎日風呂入れたら合唱はやってなかったと思うな(笑)。
──以前横浜の創学館高校の愛唱歌を書かれましたが、それもやはり「友」をテーマにしてましたが、今回の我々早稲田グリークラブにいただいた曲にも「友」という歌詞があるんですが、「友」「仲間」というのは小田さんにとってどういう存在なんでしょうか?
小田:
それはもう歌詞にも出てくるけど、一番かけがえのない…自分と同じ時間を共有してきた、自分の小さかった頃を知っていてくれるというのは、ある意味自分の刻印というか、自分がコピーされているようなものじゃない。それは他の人にはないことで。まあちょっと物理的な感じがするけれど…そういうことを思うと俺もこいつがガキだった頃を知っているし…あ~こいつも歳取ったなみたいなことがとっても大事で素敵な感じであってね。まあ新しく知り合った友達はそれほど価値ないのかというと、それはまたそれだけどね(笑)。いくつになっても友達ができるということは、もちろん古い友達も大事だけど新しい友達も同じように貴重だと思うんだよ。なかなかそういう機会ないからな。歳取ると大抵信用しなくなったり、すぐ人のことを見限ったりするから、俺なんか特に(笑)。この歳になってこんな素敵な友達が出来たんだ、なんてことはなかなかないからね。学校に作った愛唱歌については、あれは学校に対する思い、そしてその場所への思いみたいな…これも友とその時流れていた空気感みたいな、キャンバスとかね、そういうものへの思いが強かったね。もう何か書こうとするとすぐにその思いだけになるね、俺の場合は。
──我々に伝えたいことも歌にすべて詰まっているということですか。
小田:
君らが何年か経ってから、あ~あの歌はこういうことだったんだなと…今でもあ~こういうことなんだろうなと何となく伝わることもあると思うけどね…たぶん外してないと思うよ。君らは特に真面目だから。真面目じゃないやつが理解できないというわけじゃないけど(笑)。やっぱり同化して本気になって歌ってもらわないとつまらないじゃん。やっぱり自分でそうだよなって思って歌ってもらった方がいいし。
──僕らも同意する部分が多々あったので、月の光を見ながら練習したりと、小田さんはすべてを察しているかのようでした(笑)。
小田:
まあその辺のことはよくわからないけど、本番のステージの時に「月の光に…」と言った時に、君らの中にパッと光景が浮かんでくると思うよ。
──100周年を迎えるにあたり、我々早稲田グリークラブに何かメッセージをいただけますか。
小田:
まあいろんなことがあるけれど、当日初めて合というものを見に来るというお客さんもいると思うので、あ~こういう世界もあったんだ、ということを知ってもらいたいということもあるし…で、だんだんと団員も入ってこなくなったという話を最初に聞いたから、それは寂しいことだし、とっても大事なしかも素敵な文化でもあるし、それを継承して存続させて行くのは団員たちの努力しかないわけで。まあたまたま君らがその努力のひとつだと思うけど、俺のところに頼みに来てそれが実を結んで、それで俺が来るなら聴いてみようかという人が1人でも2人でも増えれば媒しく思うけどね。それでまた興味を持ってくれる人がいて、あともしテレビでやったりとか…まあテレビに出れるなら合唱団に入ってみようといういやらしい思いで入ってくるヤツもいるかもしれないけど、何もしないでただ一生懸命続けていてもね。何かグルーブを起こしていくような、時代もどんどん変わっているんだし、新しい曲もどんどん取り入れればいいだろうし、創作ということで新しい部門を考えたりするのも大事だろうし。でも調子に乗って変に力むとか、そういうのには気を付けてほしいよな。やっぱり帰るところは多田武彦だったりするわけだから…まあ100人もいれば1人や2人調子に乗ったりするヤツはいると思うけど、そこを何とか「今俺たちは喜んでいる場合じゃないんだ、もっともっと…」という、そういう気持ちが明日につながると思うんだけどね。
KAZUMASA ODA TOUR 2008"今日も どこかで"