──「自己ベスト-2」を出すに至ったまでのことを、まず教えて頂けますか?
小田和正:
『2』を出すことになるまでの経緯は、いろいろあるんだけどね。そろそろオリジナル・アルバムを、とも思ったんだよ。曲はけっこう書いてきたはずだからと。でも考えてみたら、ヒトに書いた曲も数に入れてたんだな(笑)。意外と少なかったんだ、自分で歌ったものは…。これだけあれば、あとはこれとこれを、みたいに計算してたんだけどね。でも2008年はツアーをやることにしたし、何もないところから出て行くのもなんだし、それもあってのことなんだよ。もちろん、予定をズラしてでもオリジナルを、という手もあったんだけど、こればっかりは2ヶ月ズラしたとしても、それでアルバムが完成するという確約ができることでもなかったからさ。それにツアーやるにしても、俺のコンサートに来てくれる人達の年齢とか考えると、そうそうは延ばせないだろうし…。ま、せっかく還暦ということで周りの人達が盛り上げてくれようとしているし、やるなら今年か来年だろうし。そんなわけで今回出すことにしたんだよ。
──最新シングルの「こころ」はもちろん、多種多彩ですよね。実際の選曲は、どう進めていったんですか?
小田:
みんなはどういう曲が開きたいんだろうって思って、ずいぶんと悩んだけどね。でも前回の時もそうだったけど、1曲目が一番新しい曲で、そこからは古い順に並ぶからさ。なんで「こころ」から「ひとりで生きてゆければ」へのつなぎがスムーズに行ってくれたらな、とは思ってたね。そこさえ聴く人達に違和感なく受けとめてもらえればって…。
──発表してから時間が経過して、より世の中に浸透していった作品もありますよね。
小田:
例えば「生まれ来る子供たちのために」だとしたら、あの曲を書いた時は、まさかみんなに歌ってもらえるなんて思ってなかったからね(『RED RIBBON Spiritual Song ~生まれ来る子供たちのために~」には、小田本人含め、絢香やGLAYのメンバーなどが参加)。そういうことは、頭の片隅にもなかったな。あと「恋は大騒ぎ」も、スキマスイッチの常田君とかくるりの岸田君とかが"大好きです”って言ってくれてね。さらに、「個人主義」の中の『the flag』なんかもそうなのさ。そもそもあのアルバムって、自分の好きなことやろうということからスタートしていて、だからあんなアルバム・タイトルにしたのに、それがいざ出してみると、色々なところで色々な人に曲の内容を含めて言ってもらったからね。「the flag」なんてシングルでもないのにさ。まあ、そんな声が俺の耳にも入ってくると、そりゃ選曲にも影響したよな(笑)
──新たに録り直した曲もあったりするわけですか?
小田:
シンセで入れてあった弦を、生に差し替えたりといったことだけどね。でも「いつかどこかで」だったら、当時はまだ、弦をアレンジするといっても楽器の使い方とかよく分らない中でやってたし、中途半端な気持ちもあったんで、それをやり直したりということなんだけど。(映画の公開からは時間が経ったが)それを今頃やっているというね(笑)。でも、こういう機会にこの曲が映画の主題歌だったと知ってくれて、本編を見てくれる人だっているかも知れないしね。
──弦のレコーディングでは、かって苦戦したこととかあったって聞きましたけど。
小田:
若いころはね。明らかに自分より年上の、クラシックやってきたっていう連中を前にして、冷汗かきながらやったのを思いだすよな。でも、その後進歩したよな、こうやってスタジオ来てくれる人達も若いのが増えたし。いや、自分がジジイになったからかもしれないけど(笑)。単に代替わりしただけかもしれないけどね。
──他に今回、新たにやってみたところというと…。
小田:
「ひとりで生きてゆければ」に関しては、「遠い海辺」のカップリングの"LOOKING BACK”にして、その時、歌詞を一部書き直したけど、今回再び、元の形に戻したんだよ。“LOOKING BACK"をもう一度"LOOKING BACK”したようなものだから、“LOOKING FORWARD"かもしれないけど(笑)。でも、やたらとオリジナルを変えればいいってもんじゃないってことさ。それによって新たに間違えることもあるってことでね。でもまぁ「自己ベスト-2」に関しては、前回からそんなに時間が経ってないし、商売上手と言われるかもしれないけど、こういう形で出すからこそ聞いてもらえるアルバムの中の曲もあるわけだし。新たにベストを出すということは、再び自分がやってきた歴史とも向き合うわけだからさ。それに前回、あれを聴いてコンサートに来てくれた人が大勢いたわけだし、それらのことも総合的に判断して決めたことなんだけどね。
テレビスポットについては、若いヤツらは、どうしても必要以上にカッコつけるじゃない?スカしてんじゃねえよっていうか…そこへの反発というかね(笑)。俺の場合、歳も歳だし、スカしてもしょうがないし、むしろその逆を行きたいな、というのもあってね
KAZUMASA ODA TOUR 2008"今日も どこかで"